神奈川(横浜を中心に三浦・湘南・箱根など)
| 看板の「手打」の文字も誇らしげな店だが、構えはいたって庶民的。これを気取りのない素朴さととるか演出不足ととるかは意見の分かれるところだろうが、「それなり」の見た目を演出すれば、もう少し目立ってもよい店だと思う。 白っぽいそばは、一言で言えば滑らかな舌触り。腰は強からず弱からずといったところだが、1本つまんで噛んでみると、結構な弾力を持っていることに気づくはずだ。1本1本は短めの打ち方である。乱切りとは言わないまでも、若干太さにばらつきのあるそばは、手打ちらしいと感じる向きもあるだろうが、実際には太さの均等なそばに比べると茹で時間に差が出るので避けたいところ。しかし、懸念したほどには茹で上がりにばらつきは感じられないから(亭主の舌と歯の未熟さという気もするが)、これはあら探しの部類に入るのかもしれない。 ツユに関しては好みの分かれるところかもしれないが、甘辛で言えば甘味は抑えた味付け。気持ちまろやかなほうが、亭主としては好みだが、くどさを感じないからこれはこれで食べやすいし、そばの甘味を感じるにはちょうどよいかも。後味にほのかに残る苦味が消えればよりそばそのものの味が舌に残るというと、これもあら探しになるか。 写真は天せいろ。大正エビ(だと思う)は大きくてぷりっとしており、衣もカリカリ。さらにしいたけとピーマンの合わせて3品がつく。さらに小皿にふっくらとした玉子焼きとほっこりと炊いたサツマイモが添えられるところがほのぼのとした雰囲気だ。わざわざ言わなくても蕎麦湯が出るところは、これが当たり前とは言うもののできてない店が多い中、正統派である。週末の昼前、店に客はまばらだが、出前注文の電話がひっきりなしにかかるところを見ると、近隣家庭にはファンが多いようだ。 取材:2002年5月。(当時)天せいろ1,050円、上天せいろ1,300円、かき揚げ天せいろ850円、上かき揚げ天せいろ1,350円、もり600円。ざるタイプは50円増し、おかわりそばは300円。11:30〜19:30、水曜定休。Tel.045-842-3191。上大岡駅から徒歩5〜6分。鎌倉街道関ノ下交差点のJA横浜南の角をイトーヨーカドーに向かって一方通行の道を入って少し行った左手。
2002.12追記 気になっていた「上かき揚げ天せいろ」をやっと食べる機会に恵まれた。ノーマルのかき揚げとの違いは、中にエビ2本がぶつ切りで入っている点だという。ちなみに、天せいろと上天せいろの違いも、エビが2本になるところ。 で、結果的には値段の差ほどの感動はなかった。衣の中のほうはサクサク感とは程遠い湿った感じだったし、肝心のエビの食感が特徴になるような感じもなかった。これなら芝エビをふんだんに使ったかき揚げなどのほうが、ずっと満足度は高いだろう。ということで、このメニューはおすすめしない。やはり、かき揚げというのは、ちょっと格下のポジションを守って、あまり素材に贅沢をしない代わりにサクサクとした食感を売りにしているほうがよい。そういう点では、もりそばと温かいツユにかき揚げを組み合わせたという「石松そば」(750円)が、次にこの店に行ったときのターゲットである。 ←上かき揚げ天せいろ 細かいことだが、客に出す器の向きが、前回と180度違うのも気になる。 |
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