中部(静岡県を含む東海・北陸)
| 駅の蕎麦屋、といっても立ち食いそばではない。東海道線掛川駅と同じく新所原駅を結ぶローカル線・天竜浜名湖鉄道、通称「天浜線」の遠江一宮駅は、駅舎そのものが蕎麦屋になっている。ちなみに駅そのものは無人駅で、この百々やでは出改札業務などはおこなっていない。 そばのメニューは2つだけ。もりそばと、挽ぐるみ(甘皮を含む)の粉を使った田舎そばだけで、温かいそばとか種物は一切扱っていない。食べたのはもりそばのほう。そばは細く、芯のしっかりした固めの歯ごたえが気持ちよく、もちろんそばらしい味と香りがたっぷりと楽しめる。つゆはやや辛口で、だからそばをどっぷりと浸けずに、箸でつまんだ半分ほどをツユに浸けて食べることをお奨めする。また、薬味には辛味大根をおろしたものとワサビが添えられるが、ワサビを入れないほうがそば自体の風味が存分に味わえる気がした。ワサビは、そばが終わった後にたっぷりした量が出される蕎麦湯を飲むときまで取っておいたほうがよいと思う。 と、こうした特徴を列記していたら、以前食べたことのあるそばによく似ていることに気づいた。で、後日資料を当たっていたら、山梨県長坂の「翁」の流れを汲んでいることが判明。覚えがあるはずだ。 評判の店らしく、休日の昼時はかなりの待ち時間を覚悟したほうがよいかもしれない。このときは11時50分くらいに到着して、順番が回ってきたのは12時40分くらいだった。それは、店内にテーブル席が3つ(4人掛け2つと6人掛け1つ)しかなく、合い席もしないというもてなし方によるものだ。それが不満なら、この店とは縁がなかったと思ったほうがよい。また、そばはその日の予定数が終わり次第終了。このときは最後から4組目くらいだったから、昼前にきても滑り込みセーフだったというわけだ。もちろん、平日はここまで待つということはないらしい。待ち時間には、だいたい30分おきくらいにやってくる気動車のかわいらしい風情を楽しんだり、駅の周りを飾る花をめでたりと、とにかくあせらずのんびりと過ごすことだ。 取材:2002年4月。(当時)もりそば、田舎そばとも800円。特に量が少ないというわけではないが、大人の男性には1枚では少ないだろう。2人で行ったら3枚頼むくらいがちょうどよいかも。まぁ、安くはない。営業時間は11:00〜16:00だが、本文にも書いたとおり売り切れ次第店じまいなので、週末などにお出かけの際は早めに。火曜定休(祝日は営業)。天竜浜名湖鉄道遠江一宮駅内(掛川駅からだと約30分)。Tel.0538-89-7077。
かわいらしい1両編成の気動車、天浜線 |
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