越後(新潟県)
| 湯沢温泉街の北、ロープウェイ山麓駅の隣に店を構える老舗で、昭和元年の創業である。ご主人は3代目。 そばは、つなぎに布海苔を使う新潟風。小千谷や十日町に比べると、いくぶん太めか。もちろん、手打ちである。「手間かけるならいいそば粉を使わないとつまんないからね」と、そば粉は地粉を中心に100%国産を使う。ツユも化学調味料をいっさい使わないのはもちろんのこと、鰹節まで自宅で削るというていねいな仕事。調理場の見えるオープンな店の造りは、そんな自信の現れか。 そばの味は、しゃきっとした歯ごたえと風味が印象的だ。また、へぎそばは小分けした盛り方ではなく、全体にひとかたまりとして盛り付けられているのも、十日町の小嶋屋とは違う。 メニューの中でそばそのもの以外の店の自慢といえば身欠きニシン。やはり化学調味料を使わずに3日間かけて炊きあげたというだけに、その柔らかさは感動的。しかも後味のさっぱり感が何とも言えない。1500円と少々値は張るが、京都でもこれだけのニシンはなかなか食べられないだろう。そばとセットのニシンへぎそばならちょっと割安になる。もう少し手頃な一品というなら、もち天(2個で600円)もうまい。その名のとおりもちの天ぷらなのだが、風味の軽さと、しっかりとしたもちの重みの妙味が独特の味わいである。こちらは大根おろしで頂く。 取材:1994年9月。(当時)へぎそば(3〜4人前)2,400円、天へぎ(2人前)4,100円、ニシンへぎそば(2人前)3,900円、身欠きニシン単品ともち天は本文参照。11:00〜20:00、水曜定休(祝日の場合は翌日が休み)。ピークシーズンは品切れ閉店ということもある。上越新幹線・上越線越後湯沢駅から徒歩7分。Tel.0257-84-2309。
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