東京(都心から多摩地区まで)

寿美吉(千代田区鍛冶町)

 勤め先のすぐ近くにある蕎麦屋。神田勤めの初日に入ったのもこの店だった。「こだわりのそば」なんて世間が言い始める前は、東京の蕎麦屋ってこんなだったよね、という感じの店だ。
 何度も利用しているが、そばを打っているのは見たことないし、均等な仕上がりは機械打ちだろうと思う。しかし、何が何でも手打が優れているかといえばそんなことはなく、この店のちょっと硬めでしゃっきりして(たまにもう少しやわらかい日もある)、喉越しのよい、そして白っぽい色合いといい「いかにも江戸前スタンダード」という感じのそばは、へたくそな手打そばを食べるくらいならずっとうまい(上等な手打にはもちろんかなわない)。ツユはかつおだしの効いた辛口だが、しつこいほどの匂いはない。口の広い器に入ったツユは、天ツユ共用。
 今回紹介するのは江戸前天せいろだが、この店は天ぷら系のそばメニューが多く、ほかにも穴子、海老、かき揚げのせいろとざる、そして温かいそばがある。江戸前天せいろに添えられる天ぷらは、名前のとおり江戸前の基本とも言うべきキス、メゴチ(2尾)、穴子、イカ(もちろん東京湾で獲れたものとは限らないし、たぶん違うだろう)。そしてシシトウが1本。衣はさっくりと揚がっている。メゴチが水っぽくないのもいい。薬味は天ぷらに大根おろし、そしてそば用にネギとワサビというオーソドックスな組み合わせ。
 平日のランチタイムは、会社員が騒がしいが、時間をずらすか土曜日に行くと、落ち着いてそばを味わうことができる。
 取材:2002年10月(当時)江戸前天せいろ1,000円、江戸前天ざる1,100円、穴子天せいろ・かき揚げ天せいろ各920円、同ざる各1,000円、海老天せいろ970円、同ざる1,050円。せいろ520円。温かいかき揚げの天ぷらそば(920円)もおすすめメニュー。鍋焼きうどんもうまい。11:00〜20:30(もう少し遅くまでやっていた気がするが)。日曜・祝日定休。Tel.03-3252-4657。JR神田駅南口から徒歩3分くらい。今川橋交差点近く、中央通りに面した山梨中央銀行横の路地を入ってすぐ。





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