埼玉・千葉

松郷庵 甚五郎(埼玉県所沢市)

「となりのトトロ」で、こんな会話がある。行方のわからないメイをサツキが捜すシーン。
「おまえ、どこから来たの」
「松郷です」
「まつごぉ〜!?」
 その松郷とこの店のある松郷が同じ場所なのかは、「となりのトトロ」にでてくる地名がちょっと改変してあったりする(例えば八国山と七国山)ので確信がないが、所沢は間違いなくトトロの舞台であり、店名にも冠されている松郷は、この一帯の地名(字名)である。
 店の構えもレトロというか、古農家風。店内にも天井のむき出しになった梁に古い農具が飾ってあったりと、外観から受ける期待を裏切らない田舎風だ。また、テーブル、座敷とも分厚い一枚板を天板に使った卓というのも、山奥の観光地ならともかく、市街地のはずれの店としてはなかなかこだわりを感じるところだ。
 種類だけで言うとうどんのメニューのほうが数は多いので、ここを「うどんや」として認知している人も多いようだが、ワタクシにとってはあくまでそばの店として話を進める(ほかに「日本酒の店」と思っている人もいるかもしれない)。
 注文したのは天せいろ。限定のごく細打ちのそばではなく、通常メニューのそばである。それでもそば自体はけっこう細く打ってあり、そのしっかりした歯ごたえの腰とともに、喉ごしのよい味わいだ。その手打ちの様子は、入口横のそば打ち台で見ることができる。ツユは鰹の出汁風味が強く出ているものの、味自体は辛すぎず甘ったるくなく、比較的さっぱりとしている。薬味は、きちんと下ろしたわさびとネギ、そして海苔が添えられる。海苔をいきなりそばの上に撒かないのは見識だと、海苔が乗っているそばの海苔をいちいちつまんでツユに浸して食べているワタクシは思う。天ぷらは、ナス、ミョウガ、カボチャ、サツマイモ、エビの5品。野菜はたしか季節で変わるはずだ。
 取材:2002年8月。(当時)せいろ680円、天せいろ1,360円、わんこ三味880円。うどんは冷うどんがもり590円、鴨汁うどん970円ほか、温かいうどんではとろみのついた極楽うどん(みそ・醤油・カレー)各930円も人気。麺類以外の料理も多彩。料理のコースは3,000円・4,000円・5,000円の3コース(前日までに予約)。日本酒の品揃えも充実しており、純米酒各種680円〜。秩父錦(埼玉)、真澄(長野)など20種以上の銘酒が揃う。営業時間は平日が11:15〜15:20と17:00〜20:30、日祝日が11:15〜15:00と16:30〜20:00。定休日は水曜日。週末などは品切れ閉店も。Tel.04-2944-9168。埼玉県所沢市松郷272‐2。関越自動車道所沢ICから浦和所沢バイパス(うらとこバイパス=国道463号)を所沢市内方面に進み松郷交差点を左折してちょっと行ったところ。ICから店まで途中の亀ヶ谷交差点が混んでなければ5分くらいか。バスでという場合は、たぶん、西武池袋線・新宿線所沢駅からバイパス経由の東所沢駅行きに乗り、車検場前で降りる。ちょっと戻ると松郷交差点。バス・徒歩の所要時間は不明。お店のHP


2008年5月追記
 6年ぶりに再訪。天付きあらびきそばを食べる。あらびきそばと田舎そばは、それぞれ1日20食限定だという。そばの旨味が生きていて、極上。天ぷらは、中くらいの海老のほか、ナス、しし唐、サツマイモ、カボチャ。天ツユば別。
 連れが食べた鬼笑うどんというのは6年前にはなかったメニュー。手打ちうどんのタンタン麺風スープで、柔らかい豚の角煮が載っている。
 あらびきそば924円、天付きあらびきそば1,764円、田舎そば840円、天付き田舎そば1,575円。
 上の2002年のデータは税抜き価格で、今回のは税込み。ただし、このゴールデンウィーク後に若干値上がりするそうなので、上記価格はあくまで参考にしかならないことを書き添えておく。営業時間などは最新に更新。


2018年5月追記
 10年ぶりに訪れ、天せいろそばを食べた。おいしさは変わらず。
 最新の価格を抜粋。天せいろそば1,470円、せいろそば740円、つけとろそば910円、辛味そば960円、鴨汁そば1,235円。温かいそばは、天ぷらそば1,460円、かけそば740円、鴨南そば1,290円。もりうどん640円、鍋焼きうどん1,320円。



写真は上から天せいろ、鴨汁うどん(以上は2002年8月)、鬼笑うどん、天付きあらびきそば(以上2008年5月)、天せいろ(2018年5月)





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