東北(青森県・岩手県・秋田県・宮城県・山形県・福島県)
| そばはもちろんだが、そばを素材にした創作料理が素晴らしい。そばという素材の変幻を楽しませてくれる蕎麦屋である。 夜の訪問ということで、もちろん蕎麦屋酒。 まず、そば焼き味噌、そして天かき揚げせいろの天ぷらを先出しでお願いする。 焼き味噌は香ばしく、これはオーソドックスな正統派。天ぷらは小柱と芝海老のかき揚げに、枝豆のかき揚げ、いんげん、舞茸という組み合わせ。軽い衣で、油を感じさせない天ぷらだ。抹茶塩とレモンが添えられているのも嬉しい。天ぷらにはそば田楽も付く。この田楽もさっと揚げてあり、香ばしい。 続いて、揚げそばがき。器に盛ってツユを注いだものではなく、小ぶりのロールパンかクロワッサン大のそばがきを揚げたもの。海苔で巻いて、わさび醤油で。「お熱いですからお気を付けください」と女将が言うとおり、表面は持てないほど熱くないのだが、口に運ぶと口が閉じられないくらい熱い。しかし、揚げ物が続いているにもかかわらず、全く重さはなく、むしろふんわりと軽い味が口に残る。 「商標登録 稜たくそば刺し」というのにも興味をひかれたので注文。板状のそばが氷水に泳いでいる。これもわさび醤油につけて。もっとも、そばの甘味があるので、何もつけなくてもうまい。 締めのせいろは二色を勧められたので、挽きぐるみとけし切り。けし切りは極細。けしの粒がつぶれないようにとやや太めに打つ蕎麦屋も多いが、針のように細く鋭い。挽きぐるみもかなり細打ち。こちらもピンとしたそばで、固くはないが硬質な歯ごたえ。噛みしめるとそばの甘味が染み出すようだ。 ツユは、単独では甘口かなと思ったが、そばを付けると甘味が引っ込んできりっとするタイプ。薬味には本わさび、大根おろし、さらしねぎが付く。 東京なら予約なしでは入れないだろうし、コースでの指定しかできないような料理を単品で頼めるのも驚いた。そばの世界の広さと深さを垣間見ることができる、隠れ家といえるだろう。 取材:2009年10月。(当時)天かき揚げせいろ1,700円(二色は100円増)、うすずみ(せいろ)800円、変わりそば950〜1,200円、野のおろし(奥会津産大根)850円、鰊棒だき(冷がけ・田楽付)1,450円、さざえ(冷がけ・田楽付)1,450円、生ゆば(冷がけ・田楽付)1,650円。そば焼き味噌550円、そばさし600円、揚げそばがき800円。営業時間は11:00〜15:00、18:00〜21:00(そばがなくなり次第終了)。定休日は水曜日。Tel.024‐932‐0194。福島県郡山市清水台2‐6‐5。JR郡山駅から西へ、さくら通りを歩いて10分弱。国道4号線の郡山駅入口交差点を越えて100mほど行った角を右に入ったところ。駐車場8台分。 |
|
|
Copyright (C)戯雅(giga) 2002-2024 All Rights Reserved.
|