関西

SAIKIDO

関西

そば処万両（大阪府吹田市）

　吹田の駅前、昭和11年（1936）創業と古くから地元で親しまれ、自ら「麺屋食堂」と名乗る気取りのない蕎麦屋。そばは手打ち（冷たいそば）と機械打ちを使い分けているようで、手打ちには北海道江丹別産のそば粉を使い二八で打っているという。さらに、訪れたときは新そばの時期限定で十割そばも打つという。
　店内は2人掛け4卓、4人掛け2卓、5人掛け1卓とどちらかというと小ぢんまりしている。HPでは総席数49となっているから2階にも座敷などがあるのかもしれない。
　天ざるを十割で注文。そばは極細打ちで、切り口も均等、十割にありがちな短いそばではなく喉越しも楽しめる。もちろん、コシもあり、風味もよい。ツユは出汁の輪郭がくっきりとしたタイプ。やや辛口寄りで濃さはそれほどでもない。
　天ぷらは、10㎝強の海老天2本としし唐2、海苔。塩も添えられる。衣も軽く、さっくりと揚がっている。
　薬味は青ネギ、大根おろし、おろししょうが。わさびはない。また、天付きメニューにありがちな広口の器ではなく、普通の蕎麦猪口で供されるのも好ましい。
　大阪は小麦粉文化でそばはやっと最近まともになってきたような印象だったのだが、古くから続く町蕎麦屋の体でこのクオリティーというのは、ちょっと意外であった。丼、定食も充実、季節メニューも工夫しているなど、近所に欲しいタイプの蕎麦屋だ。
　取材：2019年10月。（当時）手打ち＝天ざる1,380円、ざる880円、おろし860円、三色そば970円、鴨せいろ1,090円。十割（新そばの時期限定）＋200円。温かいそばは、かけ530円、玉子とじ730円、にしん980円、天ぷら980円、鴨なんばん1,040円。営業時間は11：00～20：30。定休日は木曜日。Tel.050‐3491‐1070。大阪府吹田市元町6‐8。JR京都線吹田駅から歩いて4分。お店のHP。