東京(都心から多摩地区まで)
| すでに京橋の「紅葉川」という店は紹介済みだが、こちら、日本橋のほうが古い。聞けば、京橋の店は支店とかではなくて、こちらに勤めていた人が同じ名前で始めたとのこと。ただ、メニューの基本は似ている。一方、帳場担当と給仕担当がしっかり分けられているところなどは、室町砂場などと同じく、昔ながらの蕎麦屋のシステムという感じがする。 お江戸日本橋。ここはおそらく、日本橋から一番近い蕎麦屋ではないだろうか。名の通った店だからか、ことさらに目立つ演出はなく、ある意味控えめなほど、オフィス街の一角に溶け込んでいる。が、抑え目な価格を無視しても、とても好みのそばが味わえる。 注文したのは、3種類ある天せいろの真ん中、月。そば殻以外は全部使った石臼引きの挽きたて全粒粉、というのが店の自慢の一つ。細打ちで黒っぽいそばは、それだけに力強い風味が魅力である。コシもシコシコ、喉越しもよい。ツユは濃い口の甘口で、そばの甘味を引き立てる。どっぷりつけるのは、作法の上でも味の上でもお勧めしないが。量的にはやや軽いと感じる向きもあるだろう。天ぷらは、「月」ならではのホタテとシメジ、そしてその下の「花」と同じくクルマエビ2本、野菜3品(ナス・しし唐・サツマイモ)と、量的にもバリエーション的にも十分。ユニークなのは器で、ちょっと見た目はわからないが、そばの載るせいろに敷いてあるのは巻き簾ではなく細い竹を竹矢来のように組んだものであったり、天ぷらも普通の塗りの器かと思うと敷き紙の下は陶板であったりする。なお、ツユは天ぷらと共用。薬味は、オーソドックスに、本わさびとネギ、てんぷら用に大根おろし。とろりと濃い蕎麦湯が嬉しい。 取材:2004年3月。(当時)天せいろは、花(クルマエビ2本・野菜3品)1,200円、月(花+ホタテ・シメジ)1,500円、紅葉(月+アナゴ・モンゴイカ)1,800円。もり600円、鴨せいろ1,200円。天せいろまたは鴨せいろのおかわりせいろ400円。温かいそばは、かけ600円、鴨南蛮1,400円など。税別。営業時間は11:00〜15:00と17:00〜21:30(土・日・祝日は15:00まで)。年中無休。Tel.03-3279-2003。地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅の日本橋寄りの出口からすぐ。東西線日本橋駅からも4分ほど。中央通りを、三越方向から来ると首都高下の角(左角にスルガ銀行)を右に曲がってすぐ(左側)。 |
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