東京(都心から多摩地区まで)

浅野屋本店(千代田区内神田)

浅野屋
 昔はともかく現代においてはさほど立地はよくないと思うのだが、賑わいは明治5年創業という老舗の底力であろうか。というのは暖簾だけみたいで失礼な言い方で、そば自体がなかなか魅力的なのである。
 店は正午前からけっこうサラリーマンで賑わっている(何だ君たちは)。たまたま席が取れずに、6人がけの席。いずれ合い席かもしれないとはいえ、こういう席を昼時に独り占めさせる判断は好感が持てる。迷わずこういう席に案内するところって、実は古くからやっている店に多い。新参の店ほど空席があっても詰め込みたがるもので、これだけでも心意気を感じることができる。
 さて、肝心のそばは、天付きメニューが各種ある中から、天せいろを注文。程なく出てきたそばは、緑色がかった細打ち。ぴんとした歯ざわりで、シコシコとコシもある。これは上物。で、ツユ。温かい。室町砂場のように天ぷらが浸してあるわけではないが、逆に天ぷらが別盛りになっているからツユも冷たいかというと、これが意外。しかも、ツユの入った徳利を手にして初めてわかるという仕組み(別に仕組んでないと思うが)なのである。このツユ、天ぷらをつけて食べると甘口な感じなのだが、単体でなめてみたら、鰹出汁風味が強い辛口。といって匂いや辛味にとんがってないマイルドな感じなのである。最初、甘口と錯覚したのは複雑な要素ゆえか未熟さゆえか。
 天ぷらは、大き目のエビ2本のほか、海苔、ナス、しし唐、シメジ(季節の野菜というから変わるだろう)。薬味は、わさびとネギ、天ぷらに大根おろしとしょうがというオーソドックスな組み合わせ。蕎麦湯もちゃんと濃い(トロトロとまではいかないが)。コストパフォーマンス的にも納得のいく、スタンダードな江戸っ子蕎麦屋、の意地を感じる店である。
 取材:2004年3月。(当時)天せいろ1,300円、あなご天せいろ1,000円、野菜天せいろ1,000円、もり・かけ500円。大盛150円増。税別。営業時間は11:00〜15:00、17:00〜21:30、土曜日は11:00〜14:30。日曜・祝日と第1・第3土曜日が定休日。Tel.03-3254‐4351。JR神田駅西口から、西口商店街より一筋南の出世不動通りを西に行った左手。サンホテル筋向かい。神田駅から徒歩3〜5分くらい。

 3月、再訪。野菜天ざるを食べる。天ぷらは、しし唐、オクラ、ネギ2、ごぼうとにんじんのかき揚げ、ふきのとう、ナス、シメジ、そしてサトイモかな。なかなかのバリエーションが楽しめた。そばが前回よりも柔らかく感じたけど。なぜ?





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