中部(静岡県を含む東海･北陸)

ささがせ（静岡県浜松市）

　そばの風味をしっかりと味わえる店である。そば粉は、普通のそば用には外側の挽きぐるみを、中心の更科粉は変わりそば用にと使い分けている。変わりそばはレギュラーのしそ切りのほか、日によってごまかゆずが用意される。店の看板商品のようなので3色とも思ったが、とりあえず初めての店ということもあり、基本の天せいろを注文。
　そばは、いかにも手打ちらしい感じ。コシはとくに強いわけではないが、噛むとじわっと押し返すような弾力があり、それでいてムチムチとまつわる感じがしない。最初にも書いたが、鼻に抜ける風味が味わえる。ボリュームもたっぷりしている。ツユは鰹風味のまろやかなタイプ。個人的にはもうちょっと江戸前っぽい濃い口もよいが、これはこれででしゃばりな感じがしなくて品のよいツユである。食べるときには使わなかったが、薬味は3種、本わさびと辛味大根、ネギ。天ツユは別に用意され、こちらには大根おろしとおろし生姜が添えられる。
　天ぷらは種類も量もたっぷり。活けクルマエビを殻ごと丸1匹使った海老天以外は、いずれも一口大の小ささに揚げてあるのも、心遣いを感じるところ。エビのほか、長ネギ2、シメジ1、インゲン2、しし唐2、ナス、サツマイモ2、シイタケ2、海苔、パセリ。このバリエーションはすごい。普通の天せいろでこれなら、上天せいろにはどれだけ盛られるのだろう。しかも、衣が軽くて食べ飽きない。
　店内は座敷のみ。暖簾をくぐると威勢のよい声で迎えてくれるのも、すがすがしくて気持ちよい店だ。予算的にはけっこう張るが、ボリュームは確実に東京の5割増くらいはあるので、質を考えればお得な感じ。
　取材：2004年5月。（当時）天せいろ1,780円、上天せいろ2,200円、せいろ850円、変わりそば2種と田舎風の三色もり1,370円、三色天もり2,200円、上三色天もり2,600円、変わりそばは1,580円で、天ぷら付きが2,500円、上天ぷらが2,900円。温かいそばは、天ぷら1,780円、上天ぷら2,200円、鴨せいろ1,370円など。営業時間は11：00～14：00と17：00～20：00。定休日は、金曜日と第2土曜日らしい（これだけは手元資料による）。Tel.053-464-4685。浜松市篠ヶ瀬141-1。基本的にクルマ利用で行く店、だと思う。東名浜松ICからだと、空いていれば5分くらいか。JR東海道本線の天竜川駅から北に、約2km。最寄りのバス停は「原島北」。ここからはすぐ。マピオンの地図。