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関西

花せ屋 花竹庵(かちくあん・京都市花背)

 京都・北山。京都の奥の鞍馬のさらに奥に広がる花背の里は、昔ながらの里山風景が広がる。丹波茅葺き入母屋造りの古民家で、上等の手打ちそばが味わえる。実は12年も前の古い資料では「花せ屋」という店は向かいのモダンアートな建物のはずだったのだが、行ってみたら「移転営業中」という看板が出ていて、向かいの古民家「花竹庵」に案内されたというわけだ。しかも「要予約」と入り口に札が下がっていて、これは失敗したかと思ったのだが、恐る恐る訪ねてみたら快く迎え入れてくれた。
 建物は外観同様屋内も昔の民家そのまま。囲炉裏から調度品に至るまで、懐かしい気持ちにさせてくれる。かつては西本願寺絵所の12代絵師・徳力富吉郎氏が夏画室として使っていたという。花竹庵は当時から用いられていた庵号とのこと。
 前置きはこれくらいに、そばである。地元で取れる山椒を練りこんだそばを、ゴマだれ、味噌だれなどで食べるものもあるのだが、基本と思しき花背そばというのを注文。まず運ばれてくるのは、食前酒とそば味噌、漬物。添えられた手ぬぐいはひざ掛け用で、お土産に持ち帰ることができる。なんとも風流。
 いよいよそばが登場。鉢2つに盛られた山椒そば。1つには刻み海苔が、もう1つには削り節が載っている。ぶっかけスタイルである。さらに薬味として普通の大根おろしと、山椒入り大根おろしがつく。黒っぽい細打ちのそばは、非常に優しい味。コシはあまり強くないが、しっかりとした弾力があり、しなやかな感じ。練りこまれた山椒がソバの香りや味を邪魔することもなく、鼻に抜ける風味がさわやかだ。ツユもまろやかでやはり優しい味。醤油と鰹節と昆布、天然素材だけを使っているそうだ。
 なお、器も手作りのオリジナル。
 たまに浮世を忘れ、優雅な時間を過ごす代償としては、ひじょうに良心的な価格設定にも思える。
 取材:2005年4月。(当時)花背そば1,570円、胡麻味そば1,680円、梅干蕎麦1,680円、味噌そば1,680円、山かけそば1,680円、そば三昧2,400円、5〜9月の夏場には野菜蕎麦1,680円、冬場には鴨蕎麦2,100円なども。営業時間は平日が10:30〜16:00、土・日・祝日は18:00まで。定休日は水曜日で、ほかに「雪多き頃は休みます」とある。平日と16時以降は予約制だが、いずれにしても事前に連絡を入れたほうが安心。Tel.075-746-0321。京都市左京区花背別所町。京阪本線出町柳駅からの京都バス広河原行きが1日4本。最寄バス停は花背別所上ノ町。花背の里のHP





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