東京(都心から多摩地区まで)
| 以前から人に薦められていたのだが、行ってみたら予想を上回る上等なそばを味わうことができた。2004年11月17日オープンと、新しい店だ。 大きな窓から光が射し込む店内は、ひじょうに明るい。カウンター席も、いわゆる蕎麦屋然とした感じがない。和風カフェといった趣。 メニューの品数は多くない。しかし、天種はいくつか用意されているのは嬉しいところ。では、「夏のおすすめ」穴子天せいろを。 まず、薬味とツユが載った盆が出てくる。器にも神経を使っている様子が伺える。カウンターに陣取ると、厨房の仕事振りがよく観察できるのだが、ひじょうに丁寧。見せるだけの仕事をしているということか。 先にそばが運ばれる。茹でる前の緑がかった色合いも、茹で上がった濃い目のベージュ色の色艶も、見ているだけで食欲をそそる。10割生粉打ちのそば、今日のそば粉は茨城産とのこと。細打ち。まさに「シコシコ」という形容がふさわしいコシ、そして喉越しのよさ、香り、3拍子揃ったそばだ。これが生粉打ちとは。量はちょっと軽い。 ツユは出汁が効いているが何かの香りが突出しない、バランスのよいまろやかな辛口。ツユ単体で感じた出汁の風味が、そばをつけるとまったくでしゃばらないのだ。 天ぷらが絶品。大振りの穴子は表面がぱりっと、中はふっくらとしている。2つに切って出されるのだが、包丁など刃物を使わず、揚げ物用の細長い箸を使って挟み切っているのも、鋭利な切り口を嫌っているからなのだろう。ほかにアスパラ、銀杏、みょうがの天ぷらと、穴子の骨を水引のように結わいた骨せんべいが添えられる。これがまた珍味。しかも美しい。ちなみに天ぷらは塩で。これがまた嬉しい。 〆の蕎麦湯もとろりと濃厚。薬味はおろしたての本ワサビとネギ。 絶対的な価格は高めだが、出費に見合うだけの味。たまの贅沢に行きたくなる店だ。 取材:2005年6月。(当時)穴子天せいろ1,800円、せいろ800円、追加せいろ600円、ごぼう天せいろ1,100円。天ぬき(帆立と玉葱のかき揚)900円。酒やそば前にもそそられる。営業時間は、月曜〜金曜が11:30〜15:00と17:00〜20:00(ラストオーダー)、土曜が11:30〜15:00(ラストオーダー)。定休日は日曜と祝日。Tel.03‐5565−0055。中央区銀座8−18−6 二葉ビル1階。最寄り駅は都営地下鉄大江戸線築地市場駅で、2番出口から歩いて2分。東京メトロ日比谷線・都営地下鉄浅草線東銀座駅6番出口から歩いて5分。銀座駅や新橋駅からも10分くらい。 |
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