神奈川(横浜を中心に三浦・湘南・箱根など)

きく弥(横浜市南区永田北) 閉店

 久しぶりに掘り出し物。失礼な言い方をあえてすれば、こんなところでこの値段でこんなそばが食べられるとは。交通の便もけっしてよくない平凡な住宅地、マンション1階のテナントの蕎麦屋、という見過ごしがちなロケーションにだまされちゃいけないんだ(自戒)。
 カウンターの8席、大テーブル、小上がりは掘りごたつ式の12席と、全部で24席ほどの店内は、明るくこざっぱりとしている。よくある町の蕎麦屋のように「家族でやってます」という雰囲気。カウンター横には打ち台、そして店頭には石臼が据えられ、「自家製粉、手打ち」を主張する。
 そばは二八の並そばのほか、太目の田舎と細打ちの十割の3種類。いずれのメニューも+100円で田舎、+200円で十割に変えることができるというきめ細かな設定が嬉しい。さらに嬉しいのは天種が豊富に用意されること。海老、穴子、かき揚、季節の野菜、蟹とメゴチ、などなど。
 では、穴子天せいろを十割で。
 十割そばは、メニューにうたわれているとおり細い平打ち。まだ残暑厳しいにもかかわらず、ぼそぼそ感はまったくなく、それどころかじわっとした弾力を歯に感じるコシ、喉越しともかなり上等。しかもそばの甘味が口に広がる。ボリュームもそこそこあるほうだ。
 ツユは出汁の輪郭がはっきりとした濃い口辛め。そばの甘味とのバランスもよい。
 穴子天せいろの天ぷらは、1本揚げした穴子を4つに切ったものに加えて、茗荷、苦瓜、玉ねぎ?(リング状の形は玉ねぎなのだが、食べるとまるで芋なのだ)が付く。たぶん野菜は季節で代わるんだろう。穴子は、身がふんわり、衣はさくさくに揚がっていて、ボリュームの割に軽い食後感。天ツユが別に付くというのもよい。これで塩が付いたらさらにポイントが上がるところ。
 そば単体ではちょうどよい値段という感じだが、天付きメニューに関しては文句なしにバリュー。天せいろ好きなら、行って損はない店だ。
 取材:2005年9月。(当時)せいろ650円、田舎750円、十割850円。穴子天せいろ1,050円、イカ天せいろ1,050円、かき揚天せいろ1,050円、蟹とメゴチ天せいろ1,150円。田舎そば100円増し、十割そば200円増し。営業時間は11:00〜22:00。定休日は月曜日で、第3月・火のみ連休。Tel.045-714-1672。横浜市南区永田北3-1-10。最寄のバス停は山王下。京急線井土ヶ谷駅・横浜市営地下鉄蒔田駅方面からは79系統、JR横須賀線・湘南新宿ライン保土ヶ谷駅方面からは53・212系統の市営バスで。井土ヶ谷駅から5分くらい。





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