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関西

本家鶴喜そば(滋賀県大津市坂本)

 「鶴喜」の「喜」は、本当は「森」という字のように七が3つ重なる字。比叡山の東の麓、日吉大社にも近い門前の蕎麦屋で、創業は店のしおりによると享保元年というから、西暦に直すと1716年。「暴れん坊将軍」吉宗の時代からあるのか。来年で290年になるという蕎麦屋である。建物はそれ自体文化財という、見た目どおりの老舗。老舗かどうかと味は無関係なんだが。
 人気の店なので、ピークシーズンには11時過ぎには入店待ちの列ができ始める。この日はかろうじて混雑前に入店。もちろん、天ざるを注文。
 もう20年近く前に訪れたときの印象は「ごついそば」だったのだが、自分の記憶が当てにならないのか、そば自体が変わってきたのか、この日はコシはほどほどの印象で、イメージどおりのガツンとしたコシのそばではなかった。弾力はあるが、歯ごたえはやや柔らかめのそばである。太さにはかなりばらつきがあり、細いそばは茹で過ぎ、いちばん太いそばは硬いという状態で、いささか素人くさい。量はちょっと軽めなので、種物を頼まないのであれば、大盛にしたほうがよいかも。余計なお世話か。
 ツユは、甘口の濃い目。そば自体も甘味があるが、このツユとあわせて後味は甘い(甘ったるいという意味ではない)。
 天ぷらは、大きめの海老が2尾、しし唐と海苔。個人的にはもう少し水気の切れた揚げ方が好みだが、関西では料亭風のしっとりした天ぷらが好まれるのかもしれないから、あくまでも好みの問題。天ツユは別に付く。
 薬味は関西らしく青いネギ、そして練りわさび、てんぷら用に大根おろし。
 そばの旨味は味わえるけど、関東から過度な期待を抱いていくと、肩透かしかも。同等以上のそばは200円以上安く日常的に食べられるから。ま、観光地の値段。
 取材:2005年11月。(当時)天ざる1,680円、ざる892円、ざる大盛1,102円、おろしそば997円。大盛は基本+210円。営業時間は10:00〜18:00。定休日は第3金曜日(そうは明記していないが、古い資料や去年行ったときはそうだった)。Tel.077-578-0002。大津市坂本4-11-4。京阪電鉄坂本駅から日吉大社方向に坂を上がって3分くらい。JR比叡山坂本駅からだと15分くらい。お店のHP





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