中部(静岡県を含む東海・北陸)
| 久しぶりに見事なそばを食べた。 古い豪農の屋敷かと思わせる建物は、かつて土間であったと思しき場所にテーブル席、その両側に広間と座敷があり、広間の席の窓からは庭を望むという落ち着いた空間。 品数の多いメニューには、天付も豊富。桜海老のかき揚や穴子もよいなぁと思ったのだが、基本の天せいろで。 ざるに盛られたそばは、ボリュームはやや軽い。しかし、緑がかったそばの艶、星が混じった細やかなヒダは、ただものではない雰囲気を漂わせている。口に運べば予想通りにじわっとした弾力のあるコシがしっかりしたそばだ。そして鼻腔から抜ける香り。平日の昼下がりにもとっかえひっかえ客足が途絶えない人気の理由がわかった。 ツユは出汁がきいているのに突出した香りなどは抑えたマイルドな口当たり。天ツユと共用なのはちょっと残念だけど。 天ぷらはぷりっとした海老が2つに切ってあるほか、なす、しし唐、海苔。衣は軽く、海老も水っぽくなくてよい。海老を2つに切ってあるのは食べやすくするためなのか、盛り付けを美しくするためなのかわからないけど、あまり意味を感じない。 薬味は本わさび、大根おろし、ネギ。蕎麦湯は濃厚なのを予想したら意外にもさらっとしていた。 いや、とにかくこのそばはうまい。ちょっと盛りが軽いとはいえ、せいろが630円というのは破格ではないだろうか。 取材:2006年5月。(当時)天せいろ1,360円、桜海老かき揚天せいろ1,360円、穴子天せいろ1,570円、せいろ630円、せいろ2枚1,150円。営業時間は11:00〜16:00。定休日は木曜日。Tel.0557‐68‐1012。静岡県熱海市上多賀798。JR伊東線伊豆多賀駅から歩いて10分ほど。クルマは国道135号線を熱海市街から南に下り、赤根トンネルを抜けた先、道が海岸沿いになったあたりで右折、国道からちょっと入ったところ。 |
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