東京(都心から多摩地区まで)

信州戸隠そば処 百々亭 大井町店(品川区大井)

 本格的な戸隠そばが味わえる店である。本店は旗の台にあるそうだが、そっち方面にはあまり縁がないもので、大井町に出店してくれてありがたい。そう、ありがたいくらいの蕎麦屋なのだ。
 エクステリアはなんとなく民芸調だが、店内はモダン。BGMはサザンである。壁を飾る品書きを見ると、夜は信州郷土料理の居酒屋モードらしい。
 そばメニューは、信州の地名や風物をなぞらえたものが多く、基本のざるやかけが戸隠、月見そばは田毎という具合。そういう演出は好きだ。でも、天付の場合は普通に「天婦羅」。上もあるが、普通の天婦羅ざるで。ちなみに「ざる」というのは海苔を載せているからではなく、笊に載っているからだ。そこらへんはちゃんと戸隠流。
 そばは想像したよりも細打ちだが、きちんと戸隠そばの流儀で山を分けている。たしか「ボッチ盛り」とかいうようなことをどこかで見たが。そば粉10につなぎ2の割合、いわゆる「外二」というそばは、シコシコとした歯ごたえ、そばの香り、そして喉越しのよさと3拍子揃っていて食べるのが楽しくなるくらい。
 ツユは角のないまろやかな口当たりだが後味はきりっと濃い口に仕上がっていて、つるっとした表面でツユが絡みにくそうなそばには合っている。天ツユと共用。
 天ぷらのバリエーションとボリュームがすごい。バランス的には絶対そばに勝っている。そば自体の量も、そこらの気取った店よりはしっかりしているんだが、普通に食べ進んだら天ぷらが残るんじゃないかな。中くらいの海老は車海老、さらにキス、特大のカボチャ、ナス、レンコン、しいたけ、サツマイモ、タラの芽、しし唐、というのはすごい。このほかに、食前にそばせんべい(写真上)、そばと一緒に自家製の漬物(百々ちゃん漬けというらしい。濃い味で美味)が付く。なんか、本当に長野の蕎麦屋にいるみたい。
 薬味はわさび、ネギ、大根おろし。
 メニューを開いたときにはちょっと高めのレートかなと思ったけど、好みのタイプのそばでボリュームもあり、さらに天ぷらの内容を考えれば、バリューとすら言える。
 取材:2006年3月。(当時)値段は外税表記。天婦羅(ざる・かけ)1,700円、戸隠(ざる、かけ)600円、太打ち田舎(ざる・かけ)900円、山菜(もり・かけ)1,100円、真田(山菜ととろろ)900円、浅間(おろしの冷がけ)900円、鴨葱(ざる・かけ)1,500円、田毎(月見、かけ)800円。営業時間は11:30〜14:00と17:00〜22:00。定休日はなし。Tel.03‐3772‐1114。品川区大井1‐24‐2 ミヤタビル1階。JR京浜東北線大井町駅の西口(アトレ側)に出て光学通り(ニコン通り)に斜め左に入り最初の角を右に曲がった道の左側。





トップへ
戻る
前へ
次へ



Copyright (C)戯雅(giga) 2002-2024 All Rights Reserved.