中部(静岡県を含む東海・北陸)

江戸変わりそば 飯嶋(静岡県三島市)

 三島駅南口に面して広がる楽寿園の南に接するように立っている。散策の折に遠方から立ち寄る客も多いようで、土曜日は開店前から待っている人がいた。
 「江戸変わりそば」と謳うように、さらしなとそれをアレンジした季節の変わりそばが自慢らしい。毎日打つそばは5種類。二八、生粉打ちの田舎、十割のさらしな、季節の変わりそば2種類。この日は秋の変わりそばのうち菊切りとゆかり切りが用意されていた。
 天付でいろいろなそばが味わえる天三色というのをチョイスすると、上記5種類から3種類のそばを選ぶことができるという。個人的には変わりそばにはあまり興がわかないほうなので、基本の二八、田舎、さらしなの組み合わせを注文。
 2段重に、そば3種と天ぷら、そしてデザートの葛餅が盛り付けられた天三色。そばはそれぞれまったく個性の違うもの。二八はコシが強く、歯ざわりのシコシコとした細打ちで。やはりこういうのが好きだ。さらしなは極細。ぴんとした食感、喉越しのよさが味わえる繊細なそばだ。当然の事ながら香りや味はない。田舎は極太。がしっと締まった歯ごたえで、箸でつまんでもしなるだけで垂れ下がらない。もぐもぐと口に含んでいく。香りやそばの味は新蕎麦の生粉打ちらしく濃厚。
 ツユは出汁の甘味が広がるが基本は辛口の濃い目。二八や田舎の強いそばの味との相性がよい。薬味には本わさび、ネギ、大根おろし(天ぷら用とは別)が付く。
 天ぷらはしし唐、ナス、カボチャと特大の海老を2つに切り分けたもの。野菜は薄い衣、海老はたっぷりした衣で、どちらもさくっと揚げてある。天ツユはちゃんと別に付いてくる。
 締めの蕎麦湯も濃厚。たっぷり2杯目まで楽しめるだけのツユを添えてくれるのが嬉しい。よく、「これで足りなきゃお前の食べ方が下手」と言わんばかりにツユが少ない店があるけど、あーいうのは嫌いだな。
 デザートに付いて来る葛餅もうまかった。変わりそばと同じように、胡麻、柚子が1切れずつ。なんというか、食事を楽しんでほしいという気持ちが伝わってくる。
 席が選べるなら、奥のテーブルか座敷に陣取れば、楽寿園の四季折々の風景も彩を添えてくれる。
 取材:2006年11月。(当時)天三色2,250円、天ざる1,850円、穴子天ざる1,500円、もり750円、二色1,100円、三色1,200円、変わりそば850円、変わりそば天ぷら付2,000円、鴨汁そば1,100円、胡麻汁そば950円。天ざる・穴子天ざるは200円増、もりは100円増でそばをさらしなに替えられる。温かいそばはかけ750円〜。営業時間は11:30〜14:00と17:00〜21:00(売り切れ閉店あり)。定休日は火曜日(限定50食のそばで営業する場合があるとのこと)。Tel.055‐975‐8434。静岡県三島市泉町1‐31。東海道新幹線・JR東海道本線・伊豆箱根鉄道三島駅南口から楽寿園に沿って南下、「モリカワ鞄店」の角を右折、楽寿園南出口のすぐ横。駅から歩いて10分ほど。
 隣町の清水町には支店「そばのたくみ飯嶋」がある。営業時間と定休日は同じ。Tel.055‐983‐3838。静岡県駿東郡清水町柿田198‐16。





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