中部(静岡県を含む東海・北陸)
| 「伊勢は圧倒的にうどんですから、蕎麦屋は少ないです」と店主が言うように、神宮の周辺で目立つのは伊勢うどんの看板ばかりだが、ここは一茶庵で修業したそば専門店。看板の文字も、片倉英統氏の筆によるものという。梁がむき出しで天井が高い建物は、先々代まで宿屋、先代は豆腐店を営んでいた建物という。 そばはせいろとあらびき(生粉打ち)の2種類で、合い盛りも選べる。その日使う蕎麦粉は店内に掲出されており、この日はいずれも北海道の幌加内産、深川産、沼田産。あらびきは北海道産と茨城産のブレンドとか。 「天せいろを合い盛りでお願いできますか」と聞いたら「できます。今日の天ぷらは穴子になります」とのこと。天種は季節で変わるそうだ。 合い盛りは4つの山に菱型に盛られて出てくる。「縦がせいろ、横があらびきになります」非常に細切り、短め。しっかりした弾力のコシがしなやかなそばで、どちらも喉越しが良い。盛りもしっかりとボリュームがある。ツユは若干ビターな辛口。器はすべてオリジナルの焼き物だが、蕎麦猪口はへこんだところに親指のおさまりが良く持ちやすい。薬味には本わさび、ネギ(白い)、大根おろし一つまみが添えられる。 天ぷらも穴子だけかと思ったら、穴子1本を半分ずつ揚げたものに加え、フキノトウ、タラの芽、春菊、カボチャ、サツマイモと、バリエーションもボリュームも豊か。塩と抹茶塩の2種類で食べるというのも素晴らしい。穴子はふっくらとしていて衣は軽い。 昨年開店したばかりというが、伊勢の名物店になる日も遠くないのではないだろうか。うどん文化圏で孤軍奮闘する心意気に握手を送りたい。 取材:2007年3月。(当時)せいろ1,000円、あらびき1,100円、合い盛り1,200円、つけとろせいろ1,500円、天せいろ1,800円(合い盛りは200円増し)。温かいそばは、かけ1,100円、湯葉とじそば1,500円、天ぷらそば1,900円。営業時間は11:00〜17:00(売り切れ終了)。定休日は水曜日で、祝日は営業して翌日休。Tel.0596‐25‐0677。三重県伊勢市宇治今在家町145‐3。近鉄宇治山田駅からバスで22分、内宮前バス停から歩いて1分足らず。土・日・祝日は渋滞のため内宮前まで路線バスが来ないので、おはらい町入口(宇治山田駅から24分)で下車、歩いて10分くらい? お店のホームページ。
2007年10月追記。定休日が4月から水曜日になったようなので、訂正。 |
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