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入新井　愛知家（大田区大森北）

　老舗の定義ってなんだろう。漠然と100年続くか3代続いている店というイメージがあるのだが。その尺度で行くと昭和8年（1933）創業というのはちょっと違うかと思うのだけれど。いや、「老舗の味」って看板にあるものだから。ちなみに「入新井」というのは現・大森北の昭和初期の地名。さらに明治までさかのぼると「不入斗」となるらしい。
　持ちビルと思しき建物の1階、落ち着いた構えの蕎麦屋。店内は高級ぶるわけでもなく、テーブル席と小上がりがある。「風神」や「雷神」などと名づけられた冷がけの創作そばにも力が入っているようだが、オーソドックスに天ざるを注文。
　そばは極細。長さからしても機械打ちかと思うが、ちょっと色黒で、コシがしっかりして風味もよいそばだ。そばの甘味が生きている。喉越しもよい。
　自家製の鰹節を使ったという自慢のツユは、それ自体はちょっとしょっぱい辛口。そばの甘味と調和して、食べるときには辛くは感じない。天ツユ共用。
　薬味には葉付きの生ワサビがおろし金と一緒についてくるほか、大根おろしとねぎが添えられる。そばの上には大きめに切った海苔がどっさり。
　天ぷらもバリエーション豊富。しし唐、生姜、イカ、舞茸、カボチャ、大きめの海老。そばの盛りもきちんとしているので、ボリュームもあるほうだ。
　1,000円前後のメニューが多いからちょっとレートは高めに見えるが、質と量を考えれば妥当かなと思う。機会があったら創作そばも試してみたい。
　取材：2008年1月。（当時）天ざる1,750円、もり700円、ざる800円、鴨せいろ1,450円、とろろ1,000円、おろし1,000円、磯おろし1,000円。温かいそばは、かけ700円、玉子とじ850円、にしん1,030円、天ぷら1,500円。風神は、冷たいそばにイクラ、大根おろし、揚げ餅、錦糸玉子、山菜などを載せたもので1,450円。雷神は、まぐろ刺身、山かけ、小海老天ぷら、山菜、錦糸玉子などを載せたもので1,450円。季節ものはかきそば（冬）1,400円など。大盛は100円増。営業時間は11：00～15：00と17：00～20：50。定休日は木曜日。Tel.03‐3761‐3710。大田区大森北1‐26‐2　愛知家ビル1階。JR京浜東北線大森駅東口から歩いて5分ほど。京急大森海岸駅からでも10分たらず。