神奈川(横浜を中心に三浦・湘南・箱根など)

角平(横浜市西区平沼)

 つけ天そばが名物の、横浜では知られた蕎麦屋の1軒。昭和25年(1950)と、第二次世界大戦後まもなくの創業だ。ちなみに屋号の「角」の字は、真ん中の縦棒が下まで突き抜ける文字。
 つけ天とは温かいツユと天ぷら、冷たいそばの組み合わせを指し、この店が考案したものだという。これをもって「天ざるや天せいろの祖」と謳っているが、そうなると「室町砂場」が天もり発祥というのと食い違ってしまうのだが、その辺はどうなんだろう。
 メニューは品数が豊富だが、つけ天の店であるせいか、いわゆる普通の「天せいろ」はない。ただ、つけ天のツユを冷たくすることはできるらしい。しかし、ツユの器の中に最初から天ぷらが入っているのは同じなので、ここは素直に名物のつけ天を注文する。なお、つけ天には、海老天を2本にした種ごみ(種が多いの意)や、野菜天(5品)、かき揚げ、海老天とかき揚げが入ったミックスなどの種類がある。
 つけ天は、器からはみ出す20cm級の大きな海老天が特徴。前述の通りツユは温かい。けっこう濃甘口のツユである。薬味は練りワサビとねぎ。
 そばは普通の町の蕎麦屋の白っぽいそば。コシは弱いというわけではないが、風味は弱い。盛りはしっかりとしている。
 そばの一つの姿としては、面白い。しかし、好みとしては、そばは冷たいツユで食べたいと思う。ツユに油が浮くのも好ましいと思わない。
 この店でどうしても普通の天せいろ的なものを食べたいなら、天ぷら(こちらでは「天ちら」。ちらはチラシ=いろいろな種類の意)を単品で注文してもりそばを食べるしかないのだが、天ちらはお高いのである。15時を過ぎれば、穴子天ぷらが注文できるので、それも一つの方法だろう。
 種ごみや天ちらに限らず、昔ながらの符丁などが生きている、よき時代の面影を残す蕎麦屋である。
 取材:2009年1月。(当時)つけ天1,150円、かき揚げつけ天1,270円、野菜つけ天1,170円、種ごみつけ天1,460円、ミックスつけ天1,580円、海老なしつけ天(揚げ玉入り)840円、つけ合鴨1,040円、つけカレー940円、つけとろろ850円(それぞれ「大」は110円増し)、もり・かけ580円、天ぷら1,150円。天ちら(海老2・野菜4)1,200円。営業時間は11:00〜20:30。定休日は日曜日と、年始、夏期(2012年4月より定休日は火曜日(祝日の場合は翌日)。Tel.045‐321‐4341。横浜市西区平沼1‐36‐2。JR・京急・東急・相鉄・みなとみらい線横浜駅東口から歩いて5〜7分くらい。お店のHP





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