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由々粋酔 蕎麦善(ゆうゆうすいすい そばぜん・新宿区四谷)

 壁に溶け込むような外観。隠れ家的、というのだろうか。シンプルな内装も、どこかのギャラリーのようだ。
 店の外に出された板書きのメニューを見ても、ややレートが高く、趣味性の強い蕎麦屋であることがうかがえる。石臼挽きの自家製粉らしい。ここまで来てケチってみてもしかたないので、生粉打ちせいろと生桜海老かき揚げをお願いする。
 生粉打ちそばは、水気の多いタイプ。極細打ちのそばの表面はヒダヒダで、粗挽きの粉を使っているようだ。粗い舌触り、強い香りと甘み、見た目よりもしなやかなコシの強さが印象的。欠点があるとすれば、つながりにくいためかそばが短めなこと。それゆえ喉越しの項目だけは評価外。
 替えせいろというのがあったので、二八のほうのせいろも食べてみる。こちらも極細。こちらのほうがそばは長く、しゃっきり感は上。比べるから生粉打ちよりも風味が弱く感じるが、これもかなり上等なそばだ。盛りは、たっぷりとまではいかないが、せいろの簾が透けるような少なさではない。
 ツユは濃いめのきりっとした辛口。薬味には本わさびとさらしねぎが付く。
 生桜海老のかき揚げも、軽く揚がっている。知る限りでは、大塚の「岩舟」に次ぐ出来だ。天ツユ付。
 ゆっくりと蕎麦前を楽しんで、せいろで締める――そんな時間が似合う蕎麦屋である。
 取材:2010年1月。(当時)生粉打ちせいろ1,050円、せいろ735円、重ねせいろ1,155円、つけとろせいろ945円、穴子天せいろ1,530円、天せいろ1,680円、鴨汁せいろ1,575円、替えせいろ420円、生粉打ち替えせいろ840円。せいろのそばは生粉打ちに替えることもできる。ぶっかけおろし945円、かけ790円。天ぷらは、生しらすかき揚げ525円、穴子790円、生桜海老かき揚げ840円、天たね盛り合わせ1,575円。営業時間は11:30〜14:30と17:30〜22:00。定休日は土曜日、日曜日、祝日。Tel.03‐3355‐8576。新宿区四谷1‐22‐12 KRビル1階。JR中央線、東京メトロ丸の内線、南北線四ツ谷駅から歩いて5分ほど。





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