埼玉・千葉

石臼碾き手打ち蕎麦吉草大宮本店（きっそう・埼玉県さいたま市大宮区）

　素朴な、力強いそばが味わえる。
　たまたま通りかかったら「石臼碾き」の文字が目にとまったので入ってみた。
　店内は細長く、掘り込み式のテーブル席が1列に並ぶ。靴を脱ぐので座敷かと後悔したが、杞憂だったのは幸い。2002年8月16日の日付が書き込まれたさだまさしの開店祝いの色紙が飾られているところからして、開店7年余りの店らしい。
　訪問が夜だったからか、食事メニューは絞り込まれた感じ。注文したのは天ざる。後でホームページを確認したら、値段は昼も夜も同じだった（夜は値上げする店も少なくない）。
　山形産の玄そばを自家製粉しているというそばは、濃いベージュの挽きぐるみ。短め、細打ちのそばを口に運ぶと、がっしりとした歯ごたえが印象的だ。じわっとそばの甘味が染み出すようなそば。喉越しもよい。
　ツユは甘口でマイルド。個人的にはもう少し濃口でもいいかと思う。
　天ぷらは、20cmくらいある大きめの海老天のほか、きす、しし唐、ナス、さつまいも。そばの野趣とは反対に、衣が軽い上品な天ぷらだ。天ツユは付かない。
　薬味は本わさびとねぎ、大根おろし。
　盛りもそこそこあり、器も品のあるものを使っていて、空間そのものが落ち着く店だ。内容を考えれば抑え目といえる価格も魅力ではなかろうか。ちなみに、うどんも手打ちである。
　取材：2009年10月。（当時）天ざる1,200円、鴨汁1,200円、ざる（細打ち・二八）700円、板（太打ち・外一）700円。大盛300円増。そば御膳（そば、海老天・きす天・野菜天、そばサラダ、そばアイス）1,500円。営業時間11：30（日曜・祝日は11：00）～14：30と17：00（土曜・日曜・祝日は16：00）～23：00（日曜・祝日は22：00）。年中無休。Tel.048‐644‐5800。埼玉県さいたま市大宮区宮町3‐1‐7。
　さいたま市見沼区には東新井店があり、こちらは駐車場も備えているそうだ。Tel.048‐688‐9488。さいたま市見沼区東新井432。