神奈川(横浜を中心に三浦・湘南・箱根など)

出嶋屋本店(横浜市中区伊勢佐木町) 閉店

 明治36年――1903年の創業というから、すでに107年。4代目を数える老舗である。
 ネットで検索すると、「作家・山本周五郎が滞在先の旅館『間門園』から通った蕎麦屋」などという記述が見つかる。
 見た目は普通の町の蕎麦屋。老舗を強調する演出はなく、敷居は低い。
 あまりメニューを吟味しないで「天ざる」を頼んでしまった。実は、天種は穴子、きす、芝海老と小柱のかき揚げ、舞茸、野菜などバリエーションがあったことには、注文した後しばらくして気付いた。あとの祭。
 そばは、コシの弱い断面の丸い機械打ち。喉越しは良いが。
 ツユは神奈川によくある甘口薄めの出汁で伸ばした感じ。どうも、江戸と違って神奈川はそばをツユにどっぷりつける人が多いのでツユが薄めになったらしい……とは、先日他の店で聞いた話である。
 薬味はねぎ。大根おろしとおろししょうがは天ぷら用だろう。わさびは付かない。
 天ぷらは、10cm大の海老天と、大葉、ナス。衣多めにかりっとした蕎麦屋スタンダードタイプ。天ツユは付かない。
 そば自体をうんぬんする感じではない町の蕎麦屋だが、蕎麦前が充実していたり、日本酒の品ぞろえがマニアックだったりと、アプローチを変えればかなり印象が好転する気配濃厚な蕎麦屋である。
 取材:2010年4月。(当時)天ざる1,000円、穴子天もり1,000円、芝海老と小柱のかき揚げ天もり1,100円、天もり950円、もり580円、とろろせいろ950円、おろしせいろ850円、鴨せいろ1,100円、かけ580円、大海老天ぷらそば1,500円。営業時間は11:00〜20:30。定休日は水曜日。Tel.045‐261‐0552。横浜市中区伊勢佐木町6‐140。京急線黄金町駅、横浜市営地下鉄ブルーライン坂東橋駅のどちらからも歩いて5分程度。





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