北関東（群馬・栃木・茨城）

村屋東亭（茨城県鉾田市）

　茨城県のブランド「常陸秋そば」のリーダー的な存在だという。店内には「遊蕎子」の号で書かれた額が飾られていることから、一茶庵系の蕎麦屋であることが知れる。
　店内はカウンター5席が椅子で、あとは小上がりが4人掛け2卓、2人掛け4卓。奥に座敷もあるようだ。
　メニューのレートは高め。天せいろを注文する。
　そばは淡いサンドベージュで、角の立った細打ち。口に運べば、コシが強いくきっとした歯ごたえと喉越しが気持ちよい。噛めばそばの甘味と香りが広がる。盛りがけちけちしていないところもよい。
　この爽快なそばを受け止めるツユは、出汁の輪郭がくっきりとした辛口濃いめ。こういうところが一茶庵系の美点ですね。
　薬味は本わさび、さらしねぎ、大根おろしがほんのりピンク色なのはなんだろう……
　天ぷらは10cm大の海老、キス、パプリカ、しし唐、ナス。天ツユは別に付く。そばがあまりにもレベルが高いせいなのか、天ぷらが凡庸に感じてしまうのは難癖というものだろうか……
　春に訪れたひたちなかの「満志粉」のご主人は、こちらで修業されたと聞いた。名人芸は受け継がれるものである。
　取材：2010年11月。（当時）天せいろ1,400円、もりそば840円、つけきのこ900円、おろしそば950円、花もり納豆そば1,000円、つけとろ1,100円、みぞれそば1,100円、鴨せいろ1,400円。温かいそばは、かけそば700円、卵とじそば750円、にしんそば1,100円、天ぷらそば1,200円、鴨南ばん1,200円。営業時間は11：30～17：30。定休日は水曜日。Tel.0291‐32‐3173。茨城県鉾田市安房1418。鹿島臨海鉄道大洗鹿島線新鉾田駅から約2km。駐車場は店の前に10台。