北関東(群馬・栃木・茨城)
| 東北自動車道佐野藤岡ICにも近いみかも山公園の北の外れに位置する、農村の古民家を利用した蕎麦屋である。そこにあるとわかっていなければ、なかなかたどりつくのも難しいくらいにひっそりとした佇まいだ。 献立は、そばと地場の野菜を組み合わせたものが中心。天ぷら付きそばの値段に500円プラスで香の物、小鉢、煮物、デザートが付くという大文字庵おすすめセットというのを注文する。 まず出てきたのは、きゅうりとショウガの漬物、蕎麦豆腐、味噌田楽、ほうれん草のおひたし、五目豆。これを食べ終わった頃合いに、大根を炊いてそばの実の餡をかけた煮物が出てくる。どれも野菜のうまみが染み出すような料理でうまい。 そしてそば。失礼な表現だが、これがかなり意表を突かれるくらい上等なのだ。コシのしっかりした極細打ちのそばで、表面には星が見える。そば自体の色は透き通ったようなサンドベージュ。見ているだけでもうれしくなってくるようなそばである。噛めばジワリとした弾力。そして、すっきりしたのど越しが味わえる。ツユもきりっとした辛口で、山里の空気そのもののようだ。 天ぷらは精進揚げ。ごぼう、舞茸、サツマイモ、カボチャ、そしてよもぎのような葉物。抹茶塩が添えられる。 蕎麦湯は前日の釜から取り置いたのであろうか、ツユはポタージュのように濃厚でなめらかな一品に姿を変える。薬味に本わさび、ねぎのほか柚子皮が付いてくるのは蕎麦湯をおいしくするためとしか思えない。 デザートの蕎麦羊羹まで、どれも素晴らしい。料理はもちろんだが、ここで過ごす時間すべてがごちそうだと思う。 店を後にする時、ひょっとしたら消えてしまっているのではないかと振り返るのは私だけではないだろう。 取材:2011年2月。(当時)大文字庵おすすめセット1,500円、大文字庵セット(さらに炊き込みご飯と抹茶付)2,000円、もりそば600円、ざるそば700円、大根そば800円、旬の天ぷら付きそば1,000円、天ぷら付き大根そば1,200円。温かいそばは、きのこそば800円、とりそば800円、旬の天ぷら付きそば1,100円。大盛は100円増。営業時間は11:00〜15:00。夜の営業は予約のみで1日1組、4名以上、コースのみ。定休日は月曜日(祝日の場合は翌日)と第3火曜日。Tel.0283‐21‐2684。栃木県佐野市黒袴町612。東北自動車道佐野藤岡ICから3kmほど。駐車スペースは5台分くらいはある。お店のHP。 |
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