神奈川(横浜を中心に三浦･湘南・箱根など)

和肆楽粋そば前三三（わしらくすいそばぜんさんさん・横浜市栄区小山台）

　環状3号線沿いの小山台――少し離れたところに「青々庵」もあるが、かなり不便な立地である。そんな目立たない場所に、絶品そばの隠れ家がある。
　店内はカウンターとテーブル、合わせて十数名のキャパシティだろうか。小さな個室もあるような……
　野菜の天ぷらも面白そうだったのだが、最初ということでベーシックな天せいろを注文。
　先に運ばれてきたのは、天ぷらと器、薬味。薬味のさらしねぎを見ただけで、この店の仕事がしっかりしていることは容易にわかる。これは期待大である。ちなみに薬味はほかに粗めにおろしたわさびと辛味大根。
　天ぷらは、どれもピンと直線的なのがまずは目を引くところ。10cm大の海老天2本のほか、にんじん、ピーマン、シメジ、サツマイモ、ナス。大根おろしが添えられ、天ツユが付く。
　ツユはきりっとした辛口で、出汁の輪郭もはっきりしている。
　そしてそばの登場。濃いサンドベージュの細打ちで。歯触りのカシっとした硬質なそばだが、実際に硬いわけではない。喉越しがよく、香りが鼻腔に抜けるようなそばは甘味もあり、その強さをツユが受け止める感じである。
　蕎麦湯も重いのが出てくるところもいい。
　蕎麦屋然としていない、ダイニングバーのようなしゃれたデザイン。全体にメニューのレートは高めなところと合わせ、普段使いというよりもちょっと贅沢な時間を過ごす店かもしれない。
　夜に来たくなるようなムードだが、前述のとおり近所でもなければなかなか夜の訪問は困難なのが悔しいところである。
　取材：2011年5月。（当時）天せいろ1,590円、野菜さまざま天せいろ1,590円、上天せいろ1,920円、せいろ750円、辛み大根せいろ860円、つけ胡椒せいろ860円、うすもり（おかわり）430円。温かいそばは、かけ800円、にしんそば1,470円、天ぷらそば1,640円。らんちせっと（せいろと小天丼）1,470円、平日のお昼膳（せいろと肉団子など3品、甘味付）1,590円。営業時間は11：30～14：30と17：30～21：00（入店は20：00まで）。定休日は月曜日と第3火曜日（祝日の場合は営業して翌日休み）。完全禁煙。Tel.045‐895‐3337。横浜市栄区小山台1‐21‐20ヒルズ小山台。根岸線本郷台駅から1.4kmほど。最寄りのバス停小山台から歩いて1分。本郷台～港南台、本郷台～上大岡の路線バスがある。駐車場は建物地下に専用が2台分。