神奈川(横浜を中心に三浦・湘南・箱根など)

手打蕎麦 おかむら(逗子市)

 逗子に住む勤め先の同僚からうまいという話を聞いていた蕎麦屋。結論から言うと、彼の舌は確かであった。
 住宅街にある自宅改造型の店舗は、看板が出ていてもうっかりクルマで通り過ぎてしまうほど。ちょっとアンティークムードの店内は、4人掛け3卓、2人掛け4卓のテーブル席だ。
 事前にホームページをチェックしたところ、「翁」系の流れを汲むようで、箱根で有名な(行ったことはないが)「暁庵」で修業されたらしい。「翁」系では天ぷらを扱わない店も多いのだが、こちらにはちゃんと天付メニューが用意されているのは嬉しいところだ。
 平日限定というかき揚げにも心を惹かれたが、基本の天ざるを注文。ここでいうざるはもちろん海苔かけの意味ではなく笊である。
 ほどなく到着したそばは、今まで訪問したことのある「翁」系のそばの中ではやや太め。常陸秋そばをメインに北海道産の蕎麦粉をブレンドした二八そばは、密度が高いちょっと重厚感がある食感、というところも系列だけでは語れない個性を感じる。ピンとした強い、それでいてしなやかなコシは、喉越しもよい。それでいて前述のとおりの密度なので、噛んだときのジワリとした弾力、甘味、鼻に抜ける香り、どれもクオリティの高さを感じさせてくれる。盛りは軽め。
 ツユは、まさに「翁」系の濃い辛口。奥のほうにくすぐるような苦みを秘めているところなどはその証拠。このそばの強さとはよい組み合わせだ。薬味は本わさびとねぎ。別項でも書いたが、ねぎを見ただけでも丁寧な仕事ぶりがうかがえる。
 天ぷらも軽く揚がって食べ飽きないもの。10cm台のちょっと小ぶりな海老天2本のほか、イカ、シメジ3、舞茸2、レンコン、サツマイモとバリエーションも楽しめる。天ツユが付くほか、卓上には岩塩が備えられていて小皿も付いてくる。
 今回ツレは辛味大根おろしそばを注文したが、この辛味大根も抜けるような辛みと深みが非常に良かった。
 そして、締めの蕎麦湯も期待を裏切らないトロッと濃いもの。これもごちそうだ。
 相盛りがメニューになかったので今回は賞味できなかったが、そばは太めの田舎そばと季節の変わりそばも数量限定で用意される。件のかき揚げといい、これは再訪しなくてはなるまい。レートは高めだが、対価に見合った体験ができる。
 取材:2012年1月。(当時)天ざる1,600円、かき揚げ天ざる(平日のみ)1,500円、ざるそば800円、田舎そば800円、季節の変わりそば1,000円、辛味大根おろしそば900円、つけとろろそば1,100円、鴨ざる1,500円。温かいそばは、かけそば800円、きざみそば1,100円、天ぷらそば1,600円など。大盛は350円増(田舎そば・変わりそばの大盛不可)。各そばと組み合わせる、かき揚げ天ぷらセット(平日のみ)700円、海老天ぷらセット800円、セットA(冷奴、そばの実ケーキ)400円、セットB(冷奴、アイス)500円。営業時間は11:30〜15:00と17:30〜20:00(夜の部は木曜日〜日曜日のみ)。定休日は火曜日と水曜日(祝日の場合は営業)。Tel.046‐872‐9803。逗子市桜山6‐1326‐74。JR横須賀線逗子駅または京急逗子線新逗子駅北口バス停から京急バス逗17系統(葉桜行)で才戸坂上下車、すぐ。逗子駅から6分、新逗子駅から5分。日中は1時間に2本(平日・土曜・日曜祝日とも)。時刻表。駐車スペースは店の前に5台分(1台分は軽自動車用)。お店のHP





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