東京(都心から多摩地区まで)

並木藪蕎麦(台東区雷門=浅草)

 この店に関しては、WEB上や雑誌、書籍などに紹介記事などがあまたあるのでこまごましたことは書かない。もっとも、それらのコンテンツが概してこの店に対して与えている高い評価は、少なからず疑問ではあるのだが。
 神田とこことあと1軒で「藪御三家」というらしい。来年(2013年)で創業100年らしい。ひさしぶりに行列してまでそばを食べた。
 雷門の正面に伸びる道に面した有名店。店内はテーブルと小上がりの座敷席。座敷に通されたら嫌だなぁと憂鬱な気持ちで待っていたが、テーブル席の相席。卓上でみられるメニューもあるようなのだが出してくれなかったので、壁に貼られている品書きから天ざるを選ぶ。
 並木藪といえば、そばは裏返したざるに盛られて出てくるのかと思っていたが、それは「ざるそば」の場合で、天ざるは「せいろ」に盛られて出てくる。
 そばはやや緑がかった色合いはよいが、断面の丸い機械打ち。コシはしっかりして喉越しはよい。盛りはミニマム。天ざるの場合、ツユは生温かい。が、同じく温かいツユの「室町砂場」と違って天ぷらはツユに浸った状態では出てこないし、かき揚げでもない(ツユの温度も「室町砂場」より低い)。このツユ、濃いのは良いが酸味が強くて癖がある。ざるそばのツユは違うのか?
 そばは凡庸だが、天ぷらはすばらしい。かりっと揚がった大きめの芝海老が4つとしし唐。天ツユはつかない。しかし、ツユには浸さず、ツユを舐めつつ食べる。天ぷらが主、そばが従と感じるようなできばえだ。
 観光名所や浅草のアトラクションとしての楽しみはあると思うが、現代の蕎麦屋の位置づけとしては、歴史があるという以外に特色はなく、中庸な蕎麦屋というといいすぎだろうか。他の有名店と同様、過度な期待はギャップを大きくすることになると思う。まずくはないが、普通であり、コストパフォーマンスは悪い。
 取材:2012年6月。(当時)天ざるそば1,700円、ざるそば700円、のりかけ850円。温かいそばは、かけそば700円、花まき850円、玉子とじ900円、天ぷら1,700円。営業時間は11:00〜19:30。定休日は木曜日。Tel.03‐3841‐1340。台東区雷門2‐11‐9。都営地下鉄浅草線・東京メトロ銀座線浅草駅のA5出口から歩いて2〜3分、東武浅草駅からは5〜6分。





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