東京(都心から多摩地区まで)

蕎麦 如月(中央区八丁堀)

 八丁堀交差点の近く、新大橋通りからちょっと入った路地に面したところにある、ちょっと古びた外観の蕎麦屋。
 入口を入ってすぐ小上がり、奥には厨房に面したカウンター、2階席もあり、という作りは、蕎麦屋というより小料理屋のレイアウトに近い。奥のカウンターに陣取りメニューを見ると、ランチタイムはランチタイム用のメニューに限定しているようだ。
 「え〜と、天せいろみたいなものが食べたいんですが」というと、ランチタイムは「天ぷらとそば」という品がそれに相当するらしい。ではそれを、いちおう念押しに「冷たいので」。
 ここまでは、ちょっと失敗したかなという気持ちもあったのだが、そばが出てきて安心したどころか大当たりであることが判明。
 ツユと薬味、小皿、天ぷら、そば、と出てきた順番に書いていこう。
 ツユは醤油の輪郭がはっきりと出た辛口濃いめ。薬味は滑らかにすりおろされた本わさびとネギ、そしてしその実。
 ランチのサービスらしき小皿は、厚揚げ、そして漬物。
 天ぷらは、衣が軽くさっくりと揚がっている。15cm強の海老天のほか、キス、ナス、カボチャ、しし唐。天ツユがつき、大根おろしとしょうがが添えられる。
 そばは、ピンと歯触りが硬質な、コシのしっかりしたもの。啜りこめば喉越し、噛めば甘味がジワリと広がり、香りが鼻に抜ける。ボリュームも、しっかりしたほうだ。
 どれも水準の高い品々なのだが、驚くのはそのコストパフォーマンス。通常メニューで天せいろは1,600円となっているのだが、この「天ぷらとそば」は内容的には小皿まで付いているにもかかわらず1,100円という価格で提供されているのである。機械打ちの駄そばに少々の天ぷらという内容でもこれを上回る価格の店はいくらでもあるが、クオリティの高い石臼挽きの手打ちそば、しかも都心という条件では、驚くほどリーズナブルである(とくに天付が)。
 東京の下町、侮りがたし。
 取材:2012年6月。(当時)ランチメニュー:天ぷらとそば1,100円、せいろ800円、とろろせいろ1,000円、釜揚げしらすせいろ(季節もの)1,000円、おかわりせいろ400円。温かいそばは、かけ800円など。ごはんとそばのセットも各種。営業時間は11:30〜14:30と17:00〜21:30。定休日は日曜日・祝日と第1・3土曜日。Tel.03‐5541‐5667。中央区八丁堀2‐22‐2。東京メトロ日比谷線八丁堀駅A5出口からすぐ。JR京葉線八丁堀駅からだと日比谷線の八丁堀駅に南端から北端まで歩くことになる。都営地下鉄浅草線宝町駅からは800mほど。





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