東京(都心から多摩地区まで)

石臼碾き・十割手打ちそば 美蕎(びきょう・豊島区東池袋=池袋東口)

 豊島区役所の脇にある。住所は東池袋だが、有楽町線や都電の東池袋ではなく、ビックカメラとヤマダ電機の戦場と化した池袋駅の東口である。
 間口は狭く、暖簾と打ち場が見える。打ち場のガラスには、その日の玄そばの生産者が貼り出されている。店は脇の階段を下った地下1階。ちょっと薄暗い店内は、テーブルの4人席、3人席、2人席が各2卓の18席。他に1階には4〜8人用の個室があるようだ。
 天付メニューもいろいろとあるなか、十割せいろと十割粗碾きそばが味わえる鴛鴦天せいろ(並)というのを注文する。「えんおう」ってオシドリのことなのか……2枚のせいろを雌雄に見立てたということなのだろう。
 天ぷらや薬味とともに最初に供されるのは、せいろのほう(写真上)。一緒に付いてきた塩は天ぷら用と思いきや「おそばにかけて召し上がってください」とのこと。
 まず、塩でそばを手繰る。密度の高い、締まった感じの重量感のある歯ごたえのそばだ。塩で食べると、そば自体の甘味を強く感じることができる。
 ツユは、奥に苦味を感じる辛口濃い目。が、そばを付けるとちょっと薄味に感じるのはそばの味が勝っているということか? ちなみに、すべてのそばをツユで食べると足りなくなる人が居るかもしれない。薬味は本わさびと繊細に刻まれたネギ。
 頃合を見計らった感じで2枚目の粗碾きが登場(写真下)。せいろよりもちょっと太めに打たれているが、いわゆる「太打ち」と呼ぶほどには太くない。こちらも締まった感じだが、逆に粗挽き感があまり感じられない打ち方かもしれない。「本むら庵」のような粗挽きとはまったく違う。1枚のボリュームは軽いが、2枚付く鴛鴦ならば軽すぎるということはない。
 天ぷらは、20cm弱の天然海老と、しし唐、ナス、サツマイモ。天ぷら分の価格差がちょっと高いかと感じるのは、400円安い小海老天せいろがあるせいなんだろう。軽く食べ飽きない天ぷらだ。天ツユ、大根おろし付。
 蕎麦前も充実していて、本領を発揮するのは夜なのかもしれない。都心の繁華街という立地、クオリティーを考えると、リーズナブルと言ってよい内容だと思う。
 取材:2012年6月。(当時)鴛鴦天せいろ(並)1,680円・(上)2,200円、鴛鴦小海老天せいろ1,260円、鴛鴦せいろ940円、天然海老天せいろ(並)1,360円・(上)1,890円、活〆穴子天せいろ1,360円、精進天せいろ1,050円、せいろ630円、粗碾き840円、鴨汁そば1,260円。温かいそばは、かけ630円、かき揚げ天そば1,050円。季節の天ぷら、冷やがけそばなどもある。営業時間は11:30〜16:00と17:00〜22:00(土曜日と祝日は20:00まで)。定休日は日曜日と第2土曜日。Tel.03‐5960‐0083。豊島区東池袋1‐32‐5 大熊ビル1階・地下1階。JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、東京メトロ丸ノ内線・有楽町線・副都心線、西武池袋線、東武東上線池袋駅東口から歩いて7分ほど。お店のHPぐるなび





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