東京(都心から多摩地区まで)

手打そば 菊谷(豊島区巣鴨)

 巣鴨地蔵通り商店街の奥(庚申塚のほう)にある。2011年6月に、練馬区石神井から「故郷」に移転したのだという。
 厳選した玄蕎麦を自家製粉、二八、生粉打ち(十割)に打ち分ける。ご主人自らHPに「趣味が高じて」と書いているように、蕎麦粉はその時々で変わるそうで、この日は茨城県旧金砂郷産の常陸秋そばを生粉打ちに使っていた。
 せっかくなので、基本は二八の天ざるのそばを生粉打ちも追加になる「利きそば」でお願いする。
 まずは二八のざると天ぷらが運ばれてくる。
 そばは極細打ち。ほんのり緑色を帯びたサンドベージュで、見た目だけでも期待できる。ジワッとした弾力のある歯ごたえ、甘味、喉越し、バランスの取れたそばだ。
 しかし、1枚目を食べ終わるころあいで出された2枚目、前述のとおり常陸秋そばで打たれた生粉打ちはレベルが違っていた。極細打ちなのは同様だが、色合いははっきりと緑ベース。二八と同じく空気感のある軽い打ち方なのは変わらないのだが、風味も甘味も、食感さえも別格。おそらく食べ比べなければ二八でもかなり満足度は高いのだが、両方食べれば大関と横綱の違いになってしまう。写真で微妙な色が再現できていないのが悔しいところ。
 ツユは、やや塩気を感じる辛口。そばの甘味を引き立てるようにしているのだろうか。
 薬味には、滑らかにおろされた本わさびと大根おろし。
 天ぷらは、天然の小海老3尾とパプリカ、ズッキーニ、ジャガイモ、カボチャ、ナスと夏らしい野菜。石巻で平釜炊きで製塩されたという「伊達の旨塩」が添えられる。
 まだ初回の訪問では見えないところもあると思うが、均質でいつも同じ味を提供する蕎麦屋も並大抵の苦労ではないと思うが、こうして玄蕎麦の違いで味が変わることを愉しむ蕎麦屋という流れも増えているように思う。
 まめに通えないのがちょっと悔しい蕎麦屋なのである。
 取材:2012年8月。(当時)もり(二八)600円、吟せいろ(十割など)850円、利き蕎麦(二八と吟)1,150円。天ざる蕎麦1,400円、鴨汁そば1,600円(吟に変更は250円、利き蕎麦に変更は550円増)。温かいそばは、かけ700円、玉子とじ900円、天ぷら1,500円、鴨南蛮1,700円(吟は250円増)。営業時間は11:30〜21:00(売り切れ閉店)。定休日は火曜日(祝日やとげぬき地蔵縁日の4の付く日は営業、翌月曜日の振り替えあり)。Tel.03‐3918‐3462。豊島区巣鴨4‐14‐15。最寄駅は都電の庚申塚停留所で、歩いて3分ほど。都営地下鉄三田線巣鴨駅A3出口から歩いて10分ほど。JR山手線巣鴨駅からは歩いて13分ほど。お店のHP(臨時休業などの情報はリンク先のブログ参照)。





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