東京(都心から多摩地区まで)

遊庵(品川区西五反田) 2021年4月28日閉店

 最寄駅は東急池上線の大崎広小路だが、数百mのために電車に乗るかどうかは個人の自由。TOC(東京卸売センター)のすぐ脇にある。ビルではなく一軒家。ひっそりとした佇まいだ。所謂「都会の隠れ家」風?――とはいえ、1階で18席、2階にはその倍の席があるということなので、小ぢんまりというわけではない。
 もりや冷がけなど天付メニューが豊富なのが嬉しい。さらに季節ものもあるようで、今回はそんな一品、穴子天せいろを注文。
 そばは二八。水分の多いちょっと縮れた細打ちで、緑がかった色合いの中に星が点々と見える。緑は丸抜きとソバの若葉が醸しているとのこと。弾力の強い、喉越しの良いそばだ。
 ツユは、単体で舐めた時には醤油のしょっぱ味が前に出ているかなと思ったが、そばと組み合わせると甘味が顔を出して非常にバランスの取れた味になる。薬味は本わさびとねぎ。
 天ぷらは20pほどの細身の穴子2枚に、万願寺唐辛子。衣は薄く、穴子の周りはさっくり、中はふっくら。食べ飽きない。しし唐はよくあるが、万願寺唐辛子を使う店にはあまり行ったことがない。大きく、甘い。天ツユが付くほか、盆の小皿は卓上に常備されたそば茶塩用。何ともモノのわかった蕎麦屋である。こちらには大根おろしとしょうがが添えられる。
 そばも天ぷらもクオリティが高い割に値段は抑え目。同条件で500円くらい余計にとる蕎麦屋は都内にいくらでもあると思うが、そんなところにも店の良心と心意気を感じるのである。ぜひとも再訪して、蕎麦屋酒も楽しんでみたいものだ。
 取材:2013年3月。(当時)穴子天せいろ(季節もの)1,200円、天せいろ1,300円、上天せいろ1,800円、かき揚げせいろ1,200円、げそとねぎのかき揚げせいろ900円、もりそば650円、冷かけ650円、とろろ蕎麦800円、鴨せいろ1,000円。温かいそばは、かけ650円、たぬき700円、小海老天と鬼おろし900円、天ぷら1,200円、かき揚げ1,200円。営業時間は11:00〜15:00と17:00〜22:00(土曜日と祝日は夜の営業なし)。定休日は日曜日。Tel.03‐5487‐2136。品川区西五反田7‐13‐11。JR山手線、都営地下鉄浅草線・東急池上線五反田駅から歩いて10分ほど。東急池上線大崎広小路駅からなら4分くらい。お店のHP





トップへ
戻る
前へ
次へ



Copyright (C)戯雅(giga) 2002-2024 All Rights Reserved.