東京(都心から多摩地区まで)

倉一(品川区西五反田)

 「遊庵」を訪れた時にちょっと回り道をして偶然見つけた蕎麦屋。壁の中に溶け込むような外観で、近くに行くまで何の店か、そもそも店なのかわからなかった。
 店内は仄暗いカウンター主体の作り。次に行ったら数えようと思うが、たぶんキャパは10数人だと思う。店主と思しき男性がいちばん若いが、成り立ちは不明。
 玄ソバを石臼で自家製粉しているようで、臼の前に使用している蕎麦粉が明記してあった。訪問時は北海道深川市音江町。ただ、「当店の蕎麦の産地」という掲示には福井県大野市の大野在来種、「現在の蕎麦の産地」という掲示には長野県小海町の南相木在来種となっており、この日のソバが何なのかはよくわからない。「本年度産 新そばです!」と書いてあったから南相木かな。
 かなり絞り込まれたメニューから、天ぷらせいろを注文。ツユや薬味を並べた盆、天ぷら、そばの順で供される。
 濃いめのサンドベージュが期待を高めるそばは極細打ち。ちょっと短めだがコシがしっかりして、くきっとした歯ざわりが気持ちよい。盛りは軽すぎるということもなく、そこそこ。ツユは濃い辛口で醤油の輪郭がはっきりしたもの。そばの甘味とのバランスが良い。薬味は本わさびとさらしネギ。
 天ぷらは、10p大の車海老の天ぷら、小さめのオクラ、シイタケ、サツマイモ。パウダー状のマイルドな塩が添えられる。油が軽く、衣が薄い天ぷらで、いくらでも食べられそう。ちなみに特上だと海老天が2本になる。
 締めの蕎麦湯はしっかり乳白。ただ、湯桶に空気抜きの穴がないので、蓋をちょっと開けないと出が悪い。
 そばも種物も上等で、店の空間も品がよい。ただ、そのためかせいろ以外のレートは高め。1割程度価格を抑えたら割高感はかなり緩和されると思うのだが。メインは夜の部なのかな。
 取材:2014年8月。(当時)天ぷらせいろ1,360円、特上天ぷらせいろ1,700円、せいろ680円、辛味大根おろしそば940円、つけとろそば1,260円、鴨汁せいろ1,360円。温かいそばは、かけ680円、山菜840円、玉とじ900円、山かけ1,360円、天ぷら1,360円、特上天ぷら1,700円。大盛り250円増。ほかに季節ものあり。営業時間は11:30〜14:30と17:00〜22:00、土曜日は12:00〜14:30と16:30〜20:00。定休日は日曜日と祝日。Tel.03‐6431‐9023。品川区西五反田7‐7‐2 スペーシア五反田1階。JR山手線、都営地下鉄浅草線五反田駅から歩いて7分ほど。東急池上線大崎広小路駅からなら3分くらい。





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