中部(静岡県を含む東海・北陸)

蕎麦 雪月花(静岡県島田市)

 暖簾がなければ蕎麦屋とは気づかない、カフェのような蕎麦屋。店内に入っても同様で、半個室や12人掛けのロングテーブルなど、蕎麦屋らしさはない。そして、昼間でも店内は仄暗い。BGMはハワイアン。
 そばは十割。茨城県大子町や福井県丸岡町から仕入れた玄ソバを石臼で自家製紛している。この日は大子の常陸秋そば。これを生粉打ち、手碾き、変わりそばの3種に打つ。
 季節感を大事にしている感じだったので、4月の限定、卯月天せいろを生粉打ちと手碾きの2色で注文。
 せいろの単品を注文しなければ、コース料理的な構成らしい。まず、そば豆腐が運ばれてくる。滑らかで淡白な味わい。続いて天ぷら(前半)、手碾きそば、天ぷら(後半)、生粉打ちそば、デザート。ペースはゆったりとしているので、時間に余裕がないときには不向きであろう。
 手碾きそばは粗挽きの粉で打ったもの。表面にひだがあり、黒っぽい。そばの風味が濃く、甘みも強い。ぼそぼそした感じは全くなく、しっかりした弾力とコシだ。「最初の2口ほどはお塩で召し上がってみてください」と、岩塩が付く。
 生粉打ちは滑らかな細打ち。こちらもコシが強く、喉越しもよい。噛めば口の中でそばの風味が広がる。そばはどちらも東京の気取った店の1人前はある。
 ツユは辛口だが角のないやわらかな口当たり。そばの甘みを引き立てるような作りだ。薬味は滑らかにすりおろされた本わさびとねぎ。
 天ぷらのボリュームがすごい。メニューには針魚(サヨリ。この日は仕入れがなくメゴチ)、タラの芽、菜の花、筍、よもぎ、明日葉、山うど+お店からのプレゼントとあったが、ジャガイモ、サツマイモ、エシャロット、バナナなどまで出てくるとは思わなかった(あと1〜2品書き漏らしたかもしれない)。岩塩と天ツユの両方で。大根おろしが添えられる。天ぷらだけでもかなり食べでがあるはずなのだが、さっくりと軽く揚がっているのと、3回ほどに分けて出されて熱々なので食べ飽きない。
 そして締めは「お口直し」のシャーベットとフルーツ。
 この店内だけ時間の流れが違うような、ゆったりとしたひと時。レートは高めの設定だが、コース料理としてみればリーズナブルに思える。なお、さらにバラエティーに富んだコース料理の「そば遊膳」などもある。
 取材:2015年4月。(当時)昼のメニュー=卯月天せいろ(2色)1,728円、(3色)2,052円、桜海老のかき揚げせいろ2,052円、(2色)2,376円、(3色)2,700円、車海老と旬の天せいろ2,160円、(2色)2,484円、(3色)2,808円、生粉打ちせいろ864円、三色そば1,404円、鴨ささ身せいろ1,512円、鴨せいろ1,785円、特製鴨せいろ2,592円。そば遊膳は雪の膳(そば豆腐、焼きみそ、水蕎麦、せいろ、そば茶アイス)1,728円、雪の膳に季節の天ぷらを加えた月の膳2,376円、おまかせ料理(先付、前菜盛り合わせ、お造り、ホウ葉味噌焼き、車海老と季節の野菜天ぷら、小せいろ、そばの実アイス。要予約)3,672円。営業時間は11:30〜14:30、17:00〜22:00(夜メニュー)。定休日は月曜日と第3火曜日(予約の場合は営業)。Tel.0547−35−5241。静岡県島田市本通2−3−4。JR東海道線島田駅から歩いて4〜5分。駐車場あり。お店のHP





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